◆ 1.発熱の効用

 

 発熱は、体の持っている免疫力を高め、ウイルスや細菌の活動性を弱める生体の防御反応と考えられています。ウイルスや細菌は発熱そのものに弱く、リンパ球や白血球やインターフェロンなどの働きは、体温が上がるほど活発になります。お母さんやおばあさんたちのなかには、熱の高さと病気の重さが比例すると思っておられたり、熱が高いと後遺症を残す、熱が続くと肺炎になるなどの誤解をされている方が非常に多く見受けられます。熱でひきつけたりしない子は、坐薬の使用は必要最低限にしたほうがよいと考えられています。

  風邪など(脳の病気以外)で高熱(41℃以下)が出ても、後遺症の心配はなく、肺炎で熱が続くことがあっても、熱で肺炎になったり、熱で脳が溶けたりすることはありません。脳の病気が疑われる心配な状態というのは、けいれんがつづいたり、声かけをやめるとすぐ眠ってしまう状態が続くなど意識がはっきりしない症状があるときです。でも、そんな状態になることはほとんどありません。

  ◆ 2.水分の補給をしっかりと

 

 お子さんが、熱を出したときには心配になり、あわててしまいますが、お子さんのお世話の仕方でまず心がけることは水分の補給です。(幼いお子さんは容易に脱水になってしまいます。脱水の時には皮膚をひっぱったときにできるしわの戻りが悪い、涙が出ない、おっしこが出ない、唇や口の中が乾いている、赤ちゃんの場合は大泉門のくぼみがひどくなるなどの症状がみられます。)

  ◆ 3.室温や着衣は?

 

 室温や着衣については、状況に応じて調節することが大切です。普通は熱が出ると暑くなります。お布団をいっぱい掛け、無理やり汗を出させるようなことをすると大人でもきっと苦しいはずです。赤ちゃんも同じで、やはり暑いときには、薄着をさせ楽にしてあげるよう、心がけてください。坐薬の効果が切れる頃など体温が急に上がるときは、熱が高いのに手足が冷たくなり、ふるえがきます(おかんせんりつ(悪寒戦慄)といいます。)。その時は、抱きしめてあげたり、おふとんをかけてあげたりして暖めてあげてください。熱が上がりきって、手足が温かくなったら、本人はまた暑くなりますので涼しくすごさせてください。 熱があっても子どもたちは、おとなと違って意外に元気なものです。熱が高くても、頬に赤みがあれば、まず心配ありません。食欲は減退しますが、無理せず水分の補給さえしっかり心がければ大丈夫です。

  ◆ 4.解熱剤の使い方

 

 まず、お母さんたちに理解してもらいたいことは、解熱剤は5〜6時間、熱や痛みをやわらげるだけで、病気を治す薬ではないということです。また子どもの場合、歴史的に見ても副作用が問題となり、使える薬が限られています。

 こどもは、おとなと違って熱には強く、38℃以上でもケロッとしていることがあるのも事実です。お母さんたちも、熱があっても家事や育児が普段どおりに出来れば、解熱剤は使わないはずです。こどもが、ある程度元気なら、熱の高さ(体温計の数字)だけでは、解熱剤を、使わないようにしたいものです。熱が、こどもに悪影響を与えている場合例えば、水分がとれない、元気がない、グズッて寝つけないなどのときに、それらのことができるように、目的をもって使いましょう。

 それでも熱が心配というお母さんは、38.5℃以上を目安として使うとよいでしょう。日中、手をかけられ充分な観察ができれば、解熱剤の必要はあまりないことが多いのです。

  ◆ 5. 解熱剤の種類

 

 こどもに使える薬剤の種類はあまり多くありません。

 当院では解熱剤はアセトアミノフェン(アンヒバ坐薬、カロナール細粒・錠)を処方しています。

 乳児には坐薬として、幼児、学童には粉薬、錠剤として、大人には錠剤として投与しています。この薬は歴史が古く、一番安全な薬と考えられています。

  インフルエンザや水痘のときに他の、アスピリン、ボルタレンR(ジクロフェナックナトリウム)、ポンタールR(メフェナム酸)などの強い作用の解熱剤を使用すると脳症発症の頻度が増える可能性が疑われていますので、ふだん乳幼児にそれらの使用は好ましくありません。

 3歳から4歳を過ぎると、坐薬に対する抵抗が増えてきます。嫌がるこどもを押さえ付けて、坐薬を使うことは恐怖心を植えつけることになり、決してよいことではありません。徐々に、経口薬に移行するように心掛けましょう。


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